取り憑かれたように、身辺整理。別に死を意識しているわけじゃないけど、ここらあたりが、一度きれいさっぱりするのにちょうどいい時期なんだと思える。二十年ほど前に「永久保存」と書いてしまっておいたポジが何千枚とある。改めて見直すと、なんでこれが永久なんだろうと首をかしげたくなるものばかりで、そのほとんどを捨てている。捨てると、妙に気持ちがいい。身軽になるとは、どうやら本当のことのようだ。それでもここまでの日々はいったい何だったんだろうと、ちょっぴり哀しい気もする。どんな経験も無駄なものなどひとつもなかったと、それは確かな信頼とともに感じてはいるけれど、残された人生の持ち時間に比べると、生きてきたそれはあまりに長く、あまりに自分が中心で空回りの日々だったような気がする。写真家に憧れ撮りつづけてきた。だがそれは単純作業に過ぎなかったようだ。作業かあ・・・、自分で書いておきながら寂しい。作業でも三十年も費やすと、それなりにいくらかの支えにはなっている。ここからまた歩き出そう。身軽になった分だけ、視ることに意識を集中できるだろう。