kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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無表情な歯医医院
 





 日本人には表情がないという話を時々耳にする。その内のひとりとして無表情に大きく頷いてしまう。しかし、それが何だというのだろう。表情は、豊かなことにも乏しいことにも、それぞれに味があるのだ。

 一度強烈に胸苦しくなった時でさえ医者にかからなかった者が、なぜか無視できなくて歯医者にだけは通ってしまう。妻が薦めてくれた近所の歯科医院で確かに腕は良さそうだが、これがまた感心してしまうほどに無表情なスタッフばかりが揃っている。そろそろ四十に手が届くかという医者の、それは指導によるものか、受付嬢も衛生士もとにかく数人の女性スタッフがちらとも微笑まずまるでロボットかサイボーグのようにして、常にゆったりめの一定の速度で動いている。問いかけて来る言葉も同じトーンで抑揚がない。はじめの頃はこの無味無臭な人々の表情を変えることに楽しみを見出していた。(おお、一応は笑うのか)。それがわかってホッとする自分の気持ちがおかしかった。なぜ人の無表情まで気にしなければならないのか。今は同じように無表情に答えて帰ってくることが多くなったが、無表情だからこそ気になるということが確かにありそうだ。人は互いの表情を伺いながら言葉を交わさずとも察し合っているつもりでいるのか、その表情が見えないと戸惑うことになるのだろう。ようするに無表情では不安で困るのだ。

 無表情は何も感じていないだろうか、笑っているから心は踊っているか、涙が流れたらそれで感動か。一概に括れる話ではないだろう。外に出ている表情と内面の動きは決して決まった関係にはないのだ。近ごろは笑いは健康の元だと意識的に笑う人がいれば、まるで役者のように簡単に泣けてくる人もいる。心は表情で表すことができるが、それが自然にわき上がったものかどうか、表情から読み取るなどあまりに短絡な気がして疑わしい。その点、無表情にこそ味がある。無表情という表情があるかぎり、表情はすべての心を示してはいない。固く閉ざされた表情の奥深くで、感情が燃えるようにたぎっていることもあり得るのだ。それを人間の深さと言ってもいいような気がするくらいだ。今もそうなのか、場の空気を読めない人を小馬鹿にする風潮があった。それも所詮、空気も表情も読める程度の話でしかない。

 笑顔は単純に美しい。涙もはじめは動揺を誘う。そして無表情にも、得体の知れない味がある。無表情の機微を知らないで、いったいなんの人間か。あの歯医者の人々のそれをまだ味わえないではいるけれど。































| 07:49 | 日々のカケラ | comments(0) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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