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2012.11.13 Tuesday
サンカーラ
明日の結婚式の撮影に出かける前に、どうしても読み終えたいと思った。田口ランディ『サンカーラ この世の断片をたぐり寄せて』。一日で読み切ってしまったのは、もしかするとこれが初めてのことかも知れない。直観のようなものだった。明日の出会いに必要なことが書いてあるのだと。
作家の思考の深さにはとても叶わないけれど、この凡夫にも年齢相応の思いに見合う出会いが訪れ、そこからさらに深めたい道が見えてくるようだ。
サンカーラとはこの世の諸行を意味しているそうだ。生まれ落ちて死ぬまでに出会うありとあらゆるもの。まさにどれもが断片として人生のあちこちに散乱している。思い出というぬくもりも、今でも胸が痛む哀しみも、振り返ればまるで小山のように積み上がっている。けれどその何百何千倍もの諸行が過ぎ行き、忘れ去っているのだろう。サンカーラか…、なんとも軽快な響きを感じる、空っぽだ、否、浮かんでいる、どっちだ、まったく。
なぜ結婚式の前に読んでおきたいと思ったんだろう。新郎新婦の若者は初めてお会いする二人だった。
『風の旅人』
に掲載された「生の霊(いのち)」の写真と文章に出会い、ぜひこの人に撮ってもらいたいと感じたそうだ。二人が大切にしたい一日の写真を撮るに相応しい力があるとはとても思えなかったが、「儀式の意味を考える一日にもしたいのです」と言われて引き下がるわけには行かなかった。真摯で誠実な方々なのだ、誠をかき集めて出会うしかないと心に決めた。
式は琵琶湖西岸の日吉大社で行われた。紅葉がほどよく色づいていた。肌寒い。雨に濡れた境内を歩きながら、その場の雰囲気に馴染もうと努めた。花嫁ばかりか、撮るためには写真家にもそれなりの支度がいる。服装は久しぶりのうさとの服にした。タイで染め織られて縫われた服が神前に似合うような気がした。撮影のあと新婦がささやいてくれた、「マスノさんはたたずまいがいいですよね」。服のおかげだったにちがいない。目立たずに場に馴染むことが、いくらかはできていたようだ。それが撮るコツのひとつだと思っている。二人を思う気持ちの表れにもしたかった。
新婦の父は半身不随で、ほんの一二歩移動するにもかなり苦労をされていた。周りの誰もが注意を払っていた。息子の晴れ姿を焼き付けるかのように、濁りなく透き通る瞳の方だった。十三歳から稼業の建具屋の三代目としての人生を歩かれたそうだ。「父は船乗りになりたかったんです」と、式の翌日新郎が教えてくれた。
二人に誘われるまま、中山道は柏原宿の街道沿いにある自宅に泊めてもらったのだ。いつごろまで営んでいたんだろうか、建具屋の名残りを感じるたたずまいに包まれ、夜遅くまで酌み交わし話し込んだ。新婦は『風の旅人』の佐伯編集長と対談したこともある表現者。絵を描く上でのいろいろな話をしてくれた。二人して写真の話を真剣に聞いてくれた。この世の諸行無常が、近ごろはまるで怒濤のように流れ去って行くけれど、向き合い感じているもののなんと静かにゆったりと流れていることだろう。間(あはひ)に漂う豊かな何かが、手に取るように感じられた。
翌日の午後、三人で近所を散歩した。通りかかった廃屋が気に入り、崩れかけたその土壁を背に日常の二人を撮りたくなった。なんともいい味の二人だ。こんな若者でいたかったと、今さら後悔しても始まらないが、羨ましいばかりに実に美しいたたずまいの二人だった。
写真を撮るとは、作業的にはほんの一瞬の出来事だったりする。時間をかけて緻密なまでに見つめる絵画と決定的に違う点でもあるだろう。だが、だからこそ諸行を捉えるにはうってつけの手段にもなりそうだ。そして、これこそが大切なのだと感じたことが、二人と過ごした二日間にいくつも生まれた。そのひとつ、深く撮るためにはそれなりの支度をしなければならない。時間をかけて見つめ続けてこそ撮れるものがある。撮る一瞬に辿り着くための過程が、写真にもあるのだ。まるで描く人のように、裏も表も見つめるがよし。
“晴れ”の日は、“け”があればこそ。“け”にこそ隠れている愛しいものを、捉え切る人になれるか。サンカーラ、日常の宝物。
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マスノマサヒロ
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2013.10.06 Sunday
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こういう瞬間を察知できるようになったのも『風の旅人』体験と佐伯さんの言葉があったからです。マスノさんの写真はいいのだけど旅人の行きずりの出会いでしかないという言葉をあの五月以来ずっと考えてきました。この若いふたりとの出会いも、一晩飲み交わしただけですがとても濃厚な味がありました。それを裸のつきあいと言ってもいいのかも知れません。絞り出すような言葉のやりとり、素の暮らしなど、いくらかでも背景を知ってこそ写真が撮れること、よくわかるようになりました。ありがとうございます。
posted by マスノマサヒロ | 2013/01/07 10:12 AM |
二人のことはよく知っているのだけど、この写真、とってもいい。人生のいい瞬間を、マスノさんが、素晴らしい写真に焼き付けてくれた。
posted by 佐伯剛 | 2013/01/06 11:19 PM |
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