kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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間垣の里






 寒波襲来の予報を聞いて、二年ぶりに間垣の里を訪ねた。冬の様子を見たいと思い続けていたからだが、雪は降らなかった。それどころか青空さえ広がった。残念、などと言ってはいけないか。奥能登で暮らすことの苦労などなにひとつ知らない。かと言って、通り過ぎるだけの観光客にもなり切れない。お前はいったいどういう立場でここに居るのかと、自分に問わずにはいられなくなった。

 集落は、入り江とも湾とも言えそうにない、ぱっくりと抉られたような小さな窪みの中央にこじんまりとある。間垣に囲まれたその風景の中で、撮りながら二日ほど佇んだ。

 シベリアからの季節風は、ことのほか冷たかった。肌を刺すとか骨身に染みるという形容ではまだまだ足りない。その中をジャージの上着ともんぺに長靴、顔をマフラーで覆っているだけの驚くほど軽装の老婦がトボトボと歩いてきた。「おばあちゃん、お墓行くんですか」。墓の方向に向かっていた。両手をポケットに入れたまま、「なもなも」。寒村で人に会うことは滅多にない。だから会ったというそれだけでうれしくなる。ひと言あいさつを交わすだけで、ありがたくなるほどだ。けれどもお前、やっぱりなんでここに居るんだろう。

 ウミネコが数羽、この辺りに棲みついているのか、住人でも観光客でもない者の相手をしてくれるように、海に、里の上にと一日中舞っていた。餌を求めているんだろうが、羽を広げて滑空するグライダーのような姿は贅沢な遊覧飛行にも見えて惚れ惚れした。強風にさえバランス良く何の苦労も感じさせないで向って行く。風を読み切っているのか。そこへ飛んできたカラスだった。羽をバタバタしながら、きっとギシギシと言わせながら、風に煽られ懸命な低空飛行で檻のような鉄のゴミ箱に辿り着いた。思わず笑って、そして思った。お前もこのカラスだ。するとこの里の人びとは、さながらウミネコなのかも知れない。

 防波堤の影に隠れて、顔を出した陽光を浴びた。あんまり気持ちがよくて、ため息が出た。なにも考えないでしばらくぼーっとしていた。立場なんかどうだっていいじゃないか。目的なんかいらない。何度でも通おう。バタバタと飛んで来よう。奥能登の間垣の里に惹かれている。




































| 13:59 | 能登 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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