kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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ぼくも、雪の日に
 雪、美しいと思う。清らかな純白に融けてみたいとさえ思う。それでも雪は汚れていると、ヤギおじさんがこんな詩を紹介していた。



「雪の日に」      
       吉野 弘


 雪がはげしく ふりつづける
 雪の白さを こらえながら

 欺きやすい 雪の白さ
 誰もが信じる 雪の白さ
 信じられている雪は せつない

 どこに 純白な心など あろう
 どこに 汚れぬ雪など あろう

 雪がはげしく ふりつづける
 うわべの白さで 輝きながら
 うわべの白さを こらえながら

 雪は 汚れぬものとして
 いつまでも白いものとして
 空の高みに生まれたのだ
 その悲しみを どうふらそう

 雪はひとたび ふりはじめると
 あとからあとから ふりつづく
 雪の汚れを かくすため

 純白を 花びらのように かさねていって
 あとからあとから かさねていって
 雪の汚れを かくすのだ

 雪がはげしく ふりつづける
 雪はおのれを どうしたら
 欺かないで生きられるだろう
 それが もはや
 みずからの手に負えなくなってしまったかのように
 雪ははげしく ふりつづける

 雪の上に 雪が
 その上から 雪が
 たとえようのない 重さで
 音もなく かさなってゆく
 かさねられてゆく
 かさなってゆく かさねられてゆく



 詩人の心の中というものをのぞてみたいものだ。なぜ、雪に、そこまで思いが及ぶんだろう。いや、きっと雪のことではない。これは人生への思いだ。詩人の中は、美しさや醜さや、苦しみやら歓びやらで、いろいろに彩られているんだ。真っ白な雪を見て、それらが吹き出してくるんだ。きっとそうだ。雪はただ、降っているだけなのに。

 去年北海道を旅したとき、お世話になった風舞さんの部屋で見かけた詩集にもこんなのがあった。



 つもった雪
    金子みすゞ

 上の雪
 さむかろな。
 つめたい月がさしていて。

 下の雪
 重かろな。
 何百人ものせていて。

 中の雪
 さみしかろな。
 空も地面もみえないで。




 詩は豊かだ。それ以上に、詩を作る人は何倍も豊かだ。詩に出会い、読んで感じる人もまた豊かだ。どこまでも豊かだ。でも、それらはみんな、けして普遍なんかじゃない。雪は、ただただ降っている。降りつづけ、ただ積もってゆく。汚れて、真っ黒にもなってゆく。ただそうなってゆく自然の現象だ。降ったばかりの真っ白な雪の上で横になり、青空を見上げた。空もただ、限りのない顔をしてどこまでも広がっていた。面白いなぁ、人の心。どんなことからも、様々にいろんなことを感じている。

 ランディさんが、どう生きるかは趣味の問題だ、と言い放っているのを読んだ。まったくその通りだと、空を見て思った。雪が美しいのか汚れているのか、感じ方も趣味の問題だ。でもその趣味、何かをコレクションするという程度のことでは済まされない、探ると何か出てきそうな、味わい深いものなのかもしれない。雪が降って真っ白に積もってくれるこの地上は、きっとまれに見る豊かなところだ。人はその豊かさの中で生きている。雪、身体には冷たいけれど、いっしょに融けてしまいそうなほどに、あったかいときがある。






| 07:24 | 日々のカケラ | comments(7) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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Comment








お礼を言うのはこちらです。いつもいろいろに感じさせてもらえるヤギおじさんの日記、ありがとうございます。だれかを傷つけないで生きることなどできるしょうか。傷つけられないで、健やかなまま生涯を終える人などどれだけいるでしょうか。あぶになったり風になったりするように、踏みつぶされる蟻になったり草になったりもする。良いことばかりしようとするのは、少し無理を感じます。良いことばかりのぼくじゃないので、言い訳なのかもしれませんが。
posted by kazesan | 2008/01/19 5:35 PM |
 kazesan、引用してくださってありがとうございました。私がこの詩にひかれるのは、なんだか自分のありようと重なる気がするからです。たくさんの人を傷つけて生きてきたことを「汚れ」にたとえてみれば、どんなに努めてみてもとりかえせない。そんな自分が降り続く雪のようにも思えたりして・・・。
posted by 葉っぱ塾八木 | 2008/01/19 12:43 PM |
 いいないいなぁ。冬はおちついて、こんなに素敵なお話ができる。これこそ贅沢というもんです。今日の取材先でやっぱり雪の話になって、いつも美しいとは限らないとその方は言っていましたが、なんに対しても、美しいとか汚いとか、その人が感じているだけであって、対象そのものがそうだというわけではないだろうにと、改めて思いました。真っ黒な泥まみれの雪を、誰もが汚いと感じるだろうか。詩も同じかもしれません。その中に詩人の感性があふれていても、それをどう感じるかはまた読み手に任されている。理解するのではなく、感じていることそのものが自分が生きて行くための材料になるんだと、今日はそんなことを考えていました。
posted by kazesan | 2008/01/18 6:41 PM |
雪をめったに見ることがないところに住む私にとって 雪は ただただ 憧れの存在です!
posted by 二日月 | 2008/01/18 3:27 PM |
雪の詩が心に響きます。
kazesanの言の葉が、きらきら輝きながら、雪と一緒に舞っています。
美しいメッセージを届けてくれるkazesanに感謝です。
posted by いち | 2008/01/18 12:05 PM |
ほんとにそうなのかもしれませんね。ただ、見ているだけでいいのかもしれない。意味を探せば道は果てしないけど、kazesanのおっしゃるように雪はただ降り、そして溶けてゆくだけ。意味を探す旅は贅沢な徒労なのかもしれません。
posted by ぷーたま | 2008/01/18 9:43 AM |
吉野さんの詩。
真っ白な花嫁衣装を纏ったときの想いが蘇りました。
今となっては期待されてるはずもないうわべの白さを装いたくて、せつなくかさなってゆく、この雪のような想いが、時に優しく、時に悲しく・・また音もなくはげしく重くもなって、いつしか溶けて消えていくことに憧れたりもする。
溶けるときはきっと、寒さも重みも寂しさからも解き放たれて、お日さまに照らされ、キラキラして消えてく。
降り積もった雪。汚れをかくそうとかさなりながら、真っ白な想いで、消えていく日を夢見て。
posted by Shino | 2008/01/18 9:26 AM |
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