kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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ゴマ平避難小屋
 白山が好きだと言いながら、数ある避難小屋にひとりで泊ることには気が進まなかった。食料に飲料水、コンロ、シュラフ、その上でのカメラ機材などまさに荷が重いし、それになんと言っても山の中でひとりで過ごす夜というものが想像できなかった。要するにこわがりなだけだが、それが一変してしまった。ヤギおじさんたちと歩いたチブリ尾根の避難小屋でもひとりで登った人といっしょになったが、泊ってみると、別にどうということもなかった。静かな山は、夜がまたいい。

 中宮道には避難小屋がふたつあって、室堂へのちょうど中間点になるゴマ平避難小屋を利用した。十年前に建てられたばかりで、中もそこそこに清掃されていた。早めに出発したおかげで小屋には午後一時半に着いてしまった。中宮温泉からの十キロをコースタイムとほぼ同じ七時間半で歩いたことになる。山は早めの行動が原則だが、すこし早すぎた。湯を沸かしてまずは焼酎のお湯割り。アルコール分といっしょに体に染み渡るのは、ついにひとりで泊ることへの軽い興奮と静かな喜びだろうか。窓を開けて新鮮な空気を取り込んだ。わざわざ着替えるこもなかったが、干した衣類が時折風に揺れている。まるで別荘にでも来たような贅沢な気分だ。足を中心にストレッチをしたり、地図を見てルートを振り返ったり、それでもある豊かな時間を利用してスワイショーをたっぷりとした。

 初めて見る北からの白山は大汝峰と御前ヶ峰が入れ替わって並んでいた。

 早めの夕飯を済ませると、窓の外はもう薄暗くなってきた。周りを調え、シュラフにもぐり込んだ。ほとんどなにも考えないで、目を閉じていた。いったいこんなところで、ひとりぼくは何をしているんだろう。ほんの一瞬そんな思いがよぎったが、早朝からの疲れが眠りを誘った。と、ドカドカとヘッドランプを灯した登山者がふたり入ってきた。七時半だった。「今から食事なんですが、いいですか?」と聞く。もちろんいいも悪いもないわけで、二階に上がったふたりの話し声や物音に、なんだかホッともしながらまた横になった。避難小屋のひとりの夜は、また次のチャンスがあるだろう。

 朝の目覚めは普段でも早いが、山は特に早い。小鳥の鳴き声に誘われて外に出た。地図の小冊子にはヒガラ、コマドリ、キビタキ、クロジなどと名前があがっているが、どのさえずりがそうなのかわからないのでは聞いていても物足りなく、小鳥たちにいくらか申し訳ない気もした。山に登って写真を撮っているだけより、白山のもっといろんなことを知りたいものだ。

 中宮道の木々たちは、どこか威厳がある

 相宿のふたりとはじめて顔を合わせた。もう出かけるようだ。「草刈りなんですよ」と、ひとりが問わず語りで話してくれた。ゴマ平避難小屋は岐阜からの北縦走路との分岐点にもなっているが、その道をもうこれで延べ十日以上もかけて苅っているそうだ。夜暗くなるまで、時間がゆるすかぎりの仕事だったのだ。こうしてのんきに山を歩いていられるのも、登山道を整備する人たちがいてくれるからだ。ぼくは立派な登山靴を履き速乾性のある衣類を着込んでいるというのに、ふたりの綿の作業服と背負子の荷物を見ていると、なんだかすこし切ないような気持ちになった。せめてぼくには白山を登るのに適した心というものがあるだろうか。山は誰をも受け入れてはくれるけれど、同じ登るなら山を知る人にならなけれが、山に申し訳ないというものだ。

 出て行くふたりに向かって、「ご苦労様です。ありがとうございます」と声に出してお辞儀をした。可笑しいほどの丁寧さだったが、普通に歩いていてさえ大変な道を、よくも苅りながら払いながら登って来れるものだ。そう思うと、まだまだ感謝が足りないような気がした。

 さてと、ぼくも残りの十キロだ。中宮道の初日はいろんな木々の写真を撮って楽しんだが、ほとんど視界の利かないルートはもうひとつパッとしなかった。今日はいよいよ尾根に出る。
 
 ひっそりと山陰に立つゴマ平避難小屋






| 18:31 | - | comments(2) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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Comment








そっかあ、天上の友は今もこうして、この世に遺した人たちのことをつなげているんだね。なんだかしんみり、うれしいです。避難小屋の夜はユコタンのことを想い出していたんだけど、ずっと見守ってくれてたのかもしれないね。ナオくんも中学ぐらいになるとますます忙しくなるんだろうなあ。早いうちに、またいつでも遊びに来てね。
posted by kazesan | 2009/09/03 9:14 PM |
kazesan 涙がとまらない。

今ね、Kazesanの写真集をみていたところ。
ゆうこさんが選んでくれた写真集だよ。
なおくんは、学校から帰って塾に行って
塾からお弁当を持ってサッカーに行ったよ。
帰ってくるのは9時過ぎなんだ。
ウサギの目は元にもどっているだろうな。

白山の写真、みなさんから送っていただいた写真、
とっかえひっかえ なおくんの机に置いてあるよ。
今度は、どこに登ろうかな。

〜いつも 心からありがとう〜
posted by KUN♪ | 2009/09/03 7:57 PM |
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