kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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山を歩くということは
 避難小屋の屋根をたたく雨の音がした。どうやら風も吹いているようだ。深く眠れているわけでもないのに、これでは起きる気がしない。夜の明けぬ暗いうちから山の上で気功をするのもいいだろうと目論んでいたのに、天候が崩れると、なにもかもがうまく行かない。となりで横になりながら、ヤギおじさんは携帯ラジオのボリュームを最小にして聞いている。天気予報を待っているようだ。雨はまだ降っているだろうか。せめて早朝の空気を吸ってこようとシュラフを抜け出した。

 ポロシャツ一枚にカッパを羽織っただけだが、寒くもなく、なにもしないでたたずんでいるにはちょうどいい気温だった。別山の向こうがほんのり明るかったが、朝日が拝めるという感じはしなかった。きょうも一日ぐずついた空模様だろうか。南竜馬場への六キロ余りの道は数年前に一度往復したことがあるだけで、どんな様子だったか正確には覚えていない。疲れ気味のタカ坊やナオコにはすこし無謀なコースだったかもしれないが、すでに歩き出している。ここまで来たら前進あるのみだ、などと気持ちを立て直して、ゆったり気分でスワイショウをした。

 午後からますます崩れるというので、早めの行動を取ることにした。山を知る人がひとりいるだけで、これまでの登拝とはずいぶんちがうものだと、ぼくは感心ばかりしている。素早くシュラフをたたんだかと思うと、空いたスペースでヤギおじさんはもうコンロを点火し湯を沸かしはじめた。テツオを起こし、あわててぼくも準備開始だ。気だるそうなナオコの横で、タカ坊がマイペースで支度をしている。咄嗟にヤギおじさんの大きな声が飛んだ。「シュラフは折り畳むんじゃない。ランダムに押し込めばいいんだよ」。なにも知らない初心者はひとつひとつ覚えていくしかないのだが、バシッとストレートに指摘されることに慣れてない子が近ごろは多いかもしれない。実際に実演してみせながらヤギおじさんはあっという間に袋に詰めてしまったが、次にシュラフを使うときのタカ坊の様子を聞いてみたいものだ。

 白山を背景になんとも大らかな準備体操

 避難小屋の前で、まずは準備体操だ。出発してすぐが御舍利山への急な上り坂になっている。それを過ぎればあとは比較的な楽な尾根歩き。ところがその頃になって、タカ坊の足どりが急におかしくなってきた。疲労困憊だ。考ええてみれば、初めての登山がこのコースでは少々荷が重かった。一番初めに参加を表明してくれたこの中学生への信頼しかぼくにはなかったけれど、それだけでは不十分だった。強制的に下ろさせた彼のザックをも背負ったヤギおじさんが言い放った。「ザックを背負うことぐらいなんでもないんだよ。でもあなたを背負うことはとても大変だ」。要するに、歩けなくなる前に自分の状況を伝え、助けが必要なら即座に求める。それこそが、全員への配慮でもあるのだ。倒れるまで自分でやってしまおうとするのはぼくも同じだが、山はなんでもそろっている街中とはちがう。ひとりが倒れれば、全員の足どりが乱れてしまうことになる。

 山歩きはまさに、人生の縮図のようだ。ひとりで生きているつもりでも、けしてそうはなっていない。人に迷惑をかけるなと、だれもが言うかもしれないが、迷惑をかけないで一生を送ることが、いったいだれにできると言うのだ。生きるということは、迷惑をかけながら、またはかけられながら、互いにつかず離れず、寄り添い支え合いながら、一歩ずつ歩いていくことではないのか。



 ザックのなくなったタカ坊の背中が、妙に細く見えた。ひょろひょろとした少年がたったひとりでおとなの仲間入りをしている。後ろからついて歩いていると、ぼくの中学時代を思い出した。こんなふうに山好きなおとなたちに囲まれて一度ぐらい山登りがしてみたかった。だが山好きなおとななど星の数ほどいるだろう。問題は山だけでなく、子どもの心まで知ろうとしているかだ。タカ坊は幸せ者だ。アニキ分のテツオと細かく気遣うナオコがいて、その上葉っぱ塾を主宰しながら山岳ガイドも自然解説員もこなしてしまうヤギおじさんがいる。おまけにいい加減なおとなの見本のぼくがいて、舞台はまるで君のためにあるようだ。






葉っぱ塾〜ブナの森から吹く風
白山合宿その4〜南竜山荘から山頂へ
白山合宿その5〜スペシャルな1泊

空のしずく
山の仲間と、思い出と







| 14:18 | 白山 | comments(6) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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Comment








その気持ちよくわかります。我が子はこんなところを歩いていたのかと、写真を見ているだけだとびっくりしますよね。実際にもこんな感じでしたが(笑)。でも中学生で今回のような登拝に参加できたことは、ぼくでもうらやましいばかり。いつかタカ坊がおとなになって子どもたちとふれあう機会があるなら、今回のなにかが自然に受けつがれていくのかもしれません。この世に遺していくものは形のあるものばかりではありませんよね。自然と遊び、自然から学ぶ。そんな時間をこれからもどんどん楽しんでみたいと思います。
posted by kazesan | 2009/08/17 12:44 PM |
私って 泣き虫だなぁと、改めて実感です。
kazesanのお言葉・お話にウルウルするのは日常茶飯事なのですが、この度の白山レポートはいつも以上に涙が止まりません。
想いを言葉にするのが難しくて、今は「ありがとうございます・・」と、それが精一杯です。ごめんなさい。

れいこさん きよこさん 風舞さん・・。
我が子に温かな眼差しを 本当にありがとうございます。
ありがとうございます。
ありがとうございます。

マサヒロさん ありがとうございます。
posted by タカ坊の母です | 2009/08/17 6:19 AM |
ほんとうにうれしいことですねえ。離れていてもいっしょに登ってくれる友がいるなんて。いつもいつも、ありがとうございます。レイコさんを軟弱とはぼくは思いませんよ。白山は、誰をも受け入れてくれて、それぞれの楽しみ方があるだけだなあって思います。荒れた天候で山頂に登ることは、実はぼくもあまりしたくないことなんですよ。一人だったら、ぜったいに行かないしね。

きよこさん。タカ坊はまた登りたいそうです。きっとぐんとたくましくなって白山に戻ってくるんでしょうね。

風舞お婆。羽毛に決まった癖をつけないためにごちゃごちゃにして入れるということもあるみたいよ。だからお布団などはケースの中ばかりではなくて、本来はゆったりと収納しておくのがいいかもね。
posted by kazesan | 2009/08/16 6:57 AM |
>>咄嗟にヤギおじさんの大きな声が飛んだ。「シュラフは折り畳むんじゃない。ランダムに押し込めばいいんだよ」。

あれれぇ〜〜?!
10日間程の間に似た様な光景を二回も体験したよ♪

孫と参加したキャンプの帰り支度の時、濡れた水着入れたらリュックのチャックが閉まらない!
思案の挙句、畳んで入れてあった雨具を引っ張り出して、ランダムに隙間、隙間に指先で押し込んだら、ゆとりでチャックが閉まりました。

12日に羽毛の肌掛け布団を買ったとき、付属の袋に仕舞うのに店員さんが悪戦苦闘。
見かねて、前回のリュック方法で詰め込んだら、、
二人でヽ(^。^)ノ。

だから、ヤギおじさんの思わず頷いちゃった♪

kazesanがリンクしてくれたお陰で、ヤギおじさんのお部屋も訪問させていただきました。

先ほど「空のしずく」さんもお尋ねしましたが、もう少し時間をかけて楽しませていただきます。

あの不思議な夕焼けが写真として残ったのは「タカくん」の感動の声の賜物だったんですね♪

今回の白山参りは早くから情報提供があったので・
各登山ルートの確認や、山小屋情報などでイメージ登山をしましたが、体感だけは当日の気象から判断するしかありませんでした。

二日目からは出来るだけパソコンを閉じて、日に数度、白山とkazesanをイメージして感じる思いを楽しみました。

本当にお婆にとっても大きな決断に導いてくれた、大切な、大切な登山経験に成りました。

kazesan♪
すばらしい企画、ありがとうございましたヽ(^。^)ノ

全くの偶然ですが、今日、新たな決断した自らが75日振りに外に向かう先が、春のコンサートの出発点の孝勝寺さんなんです♪
posted by 風舞お婆 | 2009/08/16 4:25 AM |
タカ坊くん、本当に一夏の大冒険をされたのですね。この後、甘味処にもご一緒されていますね。kazesanの気持ちが伝わるようです。何もかも初めての中で、貴重な体験をされたことに、もう気づいているかもしれませんね。
ここにも、良く頑張ったタカ坊くんを見守り、影ながら応援している人が一人いますよ・・・。
posted by きよこ | 2009/08/15 10:50 PM |
こんなに大変だったのに、この後、頂上まで行った皆さんは、すごいです!
私は、本当に、軟弱。^^
今度は、しっかり、体を作っておくので、白山の魅力ある場所、また、案内してください!
まさひろさんが、みんなをまとめてくださったからの登山でした。
本当に、ありがとうございました。

文中にリンクも、ありがとうございます。
posted by reiko | 2009/08/15 5:46 PM |
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