kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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パパラギ
 『パパラギ』という絵本を読んだ。1915年ごろにサモアの酋長が旅したヨーロッパの印象を島の人々に聞かせた話だ。世の中のいろんなことが当たり前のようで、でもどれもこれも腑に落ちないぼくにとって、この酋長ツイアビの言葉こそ求めていたものだと思った。

 たとえば、なぜ職業というものがあるんだろうか。喰うために働くのはもっともだと思うけれど、それでも喰えない人がいるのはなぜだ。着飾って遊びに出るのは楽しいけれど、なぜ裸では行けないのか。好きな男と女が抱き合うのはすごく自然なことだろうが、その仲が夫婦以外だと不自然なのか。社会主義とか資本主義とか、主義がなければ人間は生きて行けないのか。自然は大切だと言いながら、自然とかけ離れた生活をだれもが守りつづけている。お金は循環するエネルギーだと言う人がいるけれど、無理に納得しようとしているようでどこかぎこちない。誰もがあればあったで溜め込んで安心しているではないか。それがなければ先行き不安でしようがないではないか。

 夢とか希望とか、そんなものがほんとうに必要なのか。より良く生きていくためには、などと言うこと自体、どこかおかしくはないか。地上に生まれ落ちるということは、より良く生きるためか。苦難を乗り越え、成長し、果ては究極は目覚めることだと、それが生きることの目的か。大体が、人間に目的は必要か。ゴールを目指すと言うけれど、生まれることがスタートだったのか。

 この世のなにもかもが当たり前のような顔をしてまかり通っている。ボクもその中で息が詰まりそうになりながら、目をくらくらさせながら、それでも平気な顔をして、これが世の中だとして生きてきた。でもほんとうには、腑に落ちてはいなかった。



 ツイアビは言った。

 「パパラギの国には、自分の頭に火の筒を当てて、自分を殺してしまう人たちがいる。ほんとうの話だよ。物がないなら死んだ方がましだ・・・この人たちはそう考える。食事の皿のほかにはなにも持っていなくても、私たちならだれでも、歌を歌って笑顔でいられるのに」。

 パパラギとは、サモアの言葉で白人のことだそうだが、今の時代なら日本人も当然含まれるだろう。一年間に三万人を超える人が自殺している。それがニュースで流れても、だれもがほとんど他人事だ。死んだ本人の甲斐性や責任だと、忘れ去られてしまうのだ。

 こんな話もある。

 「パパラギは自分たちの生活の味気なさに、じつは気がついている。だからこそ、さまざまな汁にひたした毛を使って白いむしろの上にきれいな絵を描き、それ以外には仕事をしないという、変わったパパラギがいるのだろう」。

 まったく面白いと、笑ってばかりもいられない。さしずめカメラマンなどは、目玉のついた箱をぶらさげてきれいきれいと言って撮ってはいるけれど、それも実はどこか物足りない人生の穴埋めに過ぎないということか。

 文明開化だ産業革命だと、人はどこを向いて歩きつづけてきたんだろう。進歩の影で大切なものをどこかに置き忘れてきたと、言葉では反省もするけれど、そして心があれば忘れてきたものを取り戻せるような気持ちでもいるけれど、ほんとうにそれでいいんだろうか、などと頭ばかりで考えているパパラギのこの思考もまた、ツイアビにはとても不思議なものだったようだ。

 生まれて、生かされて、死んで行く。このシンプルな道のりを、人はどうしてこうまで複雑にしてしまったんだろう。ぼくの足りない脳みそでいくら考えても腑に落ちないはずだった。サモアの島の人たちは、今でも同じように暮らしているだろうか。ぼくは、パパラギで終わるのだろうか。

 「ひとつのことだけしかしない職業とは、おかしなものだ。人間は、手だけでもなく、頭だけでもない。からだも、心も、全部がいっしょに働いて、はじめて人間は喜びを感じる。一部分だけ生きるのなら、ほかのところは死んで、人間はめちゃくちゃになってしまう」。

 このままめちゃくちゃになってしまうなら、それはそれで構わないけれど、でもせっかく生まれてきた人生だ。人間の喜びというものがあるのなら、ほんの少しでも感じてみたいものだ。職業でなく、歌いながら働くとか、働きながら踊るとか、それこそが意味もなく腑に落ちる。



kazesan HP


 




| 22:19 | 日々のカケラ | comments(0) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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