kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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祖父
 初産帰りの娘に夫婦の部屋を提供している間、ひとり仏間兼用の座敷で寝た。普段使われていないスペースがあるなんて贅沢な話だと思うが、ここはおやじたちの家で、ぼくらは居候にすぎない。余分な部屋があって大いに助かった。エアコンのない部屋だが、サッシ戸を開放し、ひんやりと夜風を楽しむこともできた。

 何日もそこにいると、隅々にまで目が行くようになった。壁に並んだ祖父母の写真は、じっと見つめたことがなかったせいか、見つめて不思議な気持ちになった。祖父のは写真ではなく、鉛筆画のようだ。おやじがまだ6歳のころに亡くなったそうで、当然この孫とはなんの面識もない。けれども見つめながら思った。おやじにもぼくにもやっぱりどこか似ている。この人がいなければ、ぼくもこの世には存在していない。当たり前のことだが、どうにも不思議で、じっとまた見つめた。


 「おやじ、父親のことを聞かせてくれよ」。耳が遠いから大声で聞くことになる。「おやじのことかぁ、なんも覚えとらんわ」。なんとも不甲斐ない話じゃないか。6歳と言えば、ひとつやふたつ思い出があってもよさそうなものを。このごろじいさまになってきたせいだろうか。なににも関心を示さない。示しても、その瞬間で終わってしまう。人生の日々など瞬間の連続だからそれでなんの問題もないけれど、まったく愛想のない話だ。祖父から父へ、父から息子へと受け継いできたものがあったかもしれないのに、ぼくもすこし気づくのが遅かったか。

 肖像画や肖像写真をぼくが遺していくことなど考えたこともないが、案外悪くはないかもしれない。祖父とおやじと、そしてぼくが並んでいるのだ。それを子供らが見て話している。この三人よく似ているなあ、とか。先祖の話をぼくはなにひとつ知らないけれど、血をつないできたからこそ、今のひとりひとりがある。ぼくの子らも孫たちも、この祖父から流れついた血を持っている。そう言えば、おふくろも幼いころに父親を亡くしている。祖父を知らないぼくが、いま祖父でもある。孫たちに伝えたいことがあるだろうか。よくよく考えてもみたいが、考えて伝えても、それが届くとは限らない。ただ同じ血が、流れている。それで十分だ。あとは、ぼくを生きよう。祖父たちが生きられなかった分までも、できれば生きてあげたい。


| 18:37 | 日々のカケラ | comments(2) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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Comment








ぼくもいつの間にかこうして、つぶやくことが好きになりました。ぶつぶつ・・・ありがとう、Shinoさん。
posted by kazesan | 2008/08/22 7:11 AM |
kazesanのつぶやき、いつもすごく好きです。^^
posted by Shino | 2008/08/21 7:26 PM |
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