kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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月的生活
 旧暦というからには古くさいものなんだろうと思っていたら、どうやらとんでもなく優れものだった。どうして日本人は、こんなに豊かな生の感覚にもつながる暦を切り捨ててしまったんだろう。残念でしようがない。ぼくの興味は一気に月的生活に傾いてゆく。

 志賀勝『月的生活』(新曜社)は、開いたばかりでまだ詳しい話はなにも知らない。けれどこの本、プロローグだけで十分に面白い。大好きな月が、ますます身近に感じられる。

 1年365日。飾りの絵やデザインは違っても、毎年同じように数字が並ぶカレンダーをながめながら、あぁ月日の流れは速いなぁ、もう年の瀬だよと、ため息をつく。そんな気分によくなるけれど、ほんとうは暮らしの感覚というものはそんなもんじゃなかった。時間は確かに流れて感じられる。でも今のはただ、カレンダーの日付や時計の針に追われているだけの、まったく慌ただしいばかりの世の中に変わり果ててしまっていたのだ。こんなので生きた、と言える感覚になれるはずがない。

 人はほんとうは生かされいている。何に生かされているのかは知らないけれど、とにかくそれは誰にも共通してある感覚だろう。そうじゃない人は無感覚なだけだ、とこれを読み出して思うくらいだ。人も含めたすべての生命体は、月と太陽のリズムに乗って、生かされている。そしてかっての人たちは、生かされいることを身体で感じて生きていたのかもしれない。


 志賀さんが普及しようとしている太陰太陽暦の1年は、立春(西暦2月4日。5日のこともある)にもっとも近い新月からはじまる。師走だと言ってそろそろ気持ちばかりがそわそわし出すころになるけれど、今度の旧暦のお正月は2月7日にやってくる。例年、年の瀬を迎えてもいつもとなんにも変わらないぼくだったが、これでうなずけた。宇宙のリズムに合わせた大晦日は、まだ少し先の話だったんだ。

 みそかは、晦日。晦という字には、暗いという意味がある。晦日で、つごもり、とも読む。つきごもり、月籠り、月が隠れるのだ。その年の最後の晦日が大晦日。そんな夜に月が煌煌と輝いていたのでは、人間のどこかがおかしくなってもしようがないのかもしれない。どんちゃん騒ぎで街に繰り出すのももちろん楽しいだろうが、ほんとうは大晦日とは似ても似つかない夜なんだ。それならぼくも騒いでみようかと、安心もするけど。

 明けて、正月ついたちは、朔日。『月的生活』によると、ついたちはつきたち、月が立つ、にも通じているようだ。朔は、はじめ、もと。さかのぼり、よみがえる日だ。新しい月が生まれる、新月の元旦。なんて素敵なんだろう。旧正月などと簡単に片付けていたこれまでのぼくが悲しくなってくる。これからは、1年に2度、しかも旧正月をこそ大事に感じて暮らしてみたい。

 志賀さんはプロローグで書いている。

 「月と太陽を父母のように抱きながら、大地という胎盤から生まれ落ちたのがわたしたち生きとし生けるものなのです。海の満ち干を見ればわかるでしょう。海洋生物も、赤ん坊の誕生も、月に影響されていないものはありません」。

 月を愛でるとは、月にも生かされてきた自分自身を、そして同胞たちを愛でることなのかもしれない。日本以外のアジアの国々にはきっと今も月の暦を大切にしているところがあるだろう。近代化の正体が、少しわかったような気がする。
 

 
●「月と季節の暦」は、月と太陽の暦制作室の志賀勝さんが制作販売しています。ぼくにこれを教えてくれた八木倫明さんのお名前を添えると、送料は無料になるそうですよ。
 





| 07:08 | 月的生活 | comments(4) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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Comment








太陽太陰歴にもいろんなものがありそうですね。ご縁で出会った暦でいいかもね。でも志賀さんの本はとってもわかりやすくて、しかも造詣の深さがにじみ出てます。お会いしたことはないけど、誠実さを感じてしまいました。月とか感じてると、きっとあんな人になれるのかなって、実はちょっと楽しみなんですよ。風舞さんはずーっと旧暦ですか? 情報交換しましょう。
posted by kazesan | 2007/12/11 9:09 PM |
なんとなく、旧暦が馴染みがいいなぁ〜と感じてネット上の「ともいき暦」を使っている風舞です♪ 月の手帳や予定書き込みが出来るカレンダーをこよなく愛して(ちょっとオーバー?)いますが、なんだか『月的生活』も読みたいなぁ〜♪
posted by 風舞 | 2007/12/11 1:46 PM |
ぼくなんか取り入れる前から気持ちがぐんと違ってきました。月といっしょに生きてる感覚、なんて素敵なんでしょう。倫明さんはずっとこんな気持ちいい暮らししてたんですね。ご紹介ありがとうございました。
posted by kazesan | 2007/12/11 10:50 AM |
kazesan も、
月的生活に入っていきそうですね。

月を暮らしの中に採り入れると、それだけで、気持が違ってきますね。

posted by 八木倫明 | 2007/12/11 9:41 AM |
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