kazesan3風の吹くままカメラマンの心の旅日記

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不感症
 「アール・ブリュット/交差する魂」を観てきた。この一週間ほど写真や表現することについて思いをめぐらしてきた。きょうをそろそろ、その締めくくりにしたい気持ちがあった。展示されたアウトサイダー・アートの実物を目の前にして、ぼくが何を感じるのか楽しみだった。ところが会場に入り大勢の人に交じって狭い空間にいることが合わなかったのか、どこにでもある展覧会を普通に足早に鑑賞してきたのに似ていた。事前の衝撃が大きすぎたせいだろうか。それともぼくが鈍感なだけなのかもしれない。あまりに感動のない自分に呆れてしまう。これではきっと、もう表現者でも写真家でもないだろう。

 オープニングイベントの記念講演に招かれた、スイス・ローザンヌのアール・ブリュット・コレクション館長のリュシエンヌ・ペリーさんの話も聞いた。何度も同じような話を聞いた気になっていて、言葉がストレートに響いてこない。なぜアール・ブリュットとして枠を設けてしまうんだろうかと、不思議な思いに囚われていた。講演のあとの聴衆からの質問にも、そんなことが本当に知りたいことなのかと感じるものばかりだった。ああ、ぼくは最低だ。不感症で批判的で自意識の塊で、もう何もかもが分からなくなってきた。なぜみんな、自分以外のことを理解しようとあんなにまで一生懸命なんだろう。ぼくの心の中はもやもやと得体の知れない煙が立ちこめて、息がつまりそうだった。

 会場に駆けつけた出展者のひとりが紹介された。ぼくがイボイボ星人と呼んで気に入ってしまった不思議な生き物を創作している青年だった。拍手に包まれて一番奥ですっくと立ち上がった。表情ひとつ変えず、まっすぐに向けた視線はなにを見ているのだろうか。聴衆といっしょになって手をたたいている。この日はじめて、ぼくは感動していたのかもしれない。自意識に囚われていないとは、こういう姿なんだ。なんだか肩の力が抜けていった。何もかもがわからなくなったのも、そのままにしておこう。ぼくは、ぼくの目で見て感じていることを感じているしかないのだから。






| 21:44 | 日々のカケラ | comments(2) | trackbacks(0) | posted by マスノマサヒロ |
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Comment








 コメントありがとうございます。
 
 ぼくは感動がなかったというわけじゃないんですが、大きな感動に包まれる自分を想像しすぎていました。前もって期待することなどこれまで一度もなかったのに、ちょっと不思議です。それだけアウトサイダー・アートは、ぼくにとって大きな存在だということなのかもしれません。

 ペリーさんが講演後の質疑応答で、「わたしはまず作品を見ています。そのあとに作者を見ます」と答えていました。既存の、ことに日本のアートに対する見方はどうでしょうか。まず名前ありき、かもしれません。有名な画家、写真家、音楽家など名前に引かれて、その会を見に行きますよね。佐伯さんが書いていたように、どこかの批評家の言葉や世間の評判を頼りに鑑賞しているわけです。そういうのより、まず作品に惹かれ、引き込まれ、作者が誰であろうとその時の自分の感覚を楽しむ方が、むしろ好ましいような気がします。

 アール・ブリュット展はけして作者を無視してはいませんでしたよね。簡単にですがどんな人生だったのか経緯さえ添えられていました。確かに作者たちは評価も報酬も一切眼中にはないようで、だからこそぼくは、ああいう会場ではなく、個人的に出会ってみたい気がしました。それが居心地が悪かった原因のひとつだと気づきました。でも、個人的に出会うためには、まずアート展として一堂に集めてもらえるとすごく助かります。

 ぼくはこのごろ、アートとはなんぞや、とそんなことばかり考えています。あまりに大きなテーマでいまはなにひとつコメントできませんが、あのアール・ブリュット展の作者たちが考えるきっかけを与えてくれたことだけは確かです。
posted by kazesan | 2008/03/12 4:13 PM |
 はじめまして!
 僕も「風の旅人」というか佐伯編集長のファンで、いつもブログ読んでいます。自慢じゃないですが最初からです。
 最近のコメントのリンクからこちらに来まして、同じような感想を持たれているので、気になりまして、よく読ませていただいてます。正直、すごい素敵な文章と写真だと思います。

 アール・ブリュットについて色々書かれていますが、僕も気になって、この次の日行きました。
 僕も同じように、そこまでの感動はなかったのが、正直なところです。
>なぜみんな、自分以外のことを理解しようとあんなにまで一生懸命なんだろう。<
 というところに、似たものを感じました。「自分以外」とは、「自分には理解できない」や「自分とは違う」というニュアンスでしょうか。事前に強い固定観念が、というのもありますが、僕は、作者自身のことを無視しているように感じたのが大きかったです。作者は多分それを、作品として、展示品としてなど考えていないと思うからです。それを勝手にアートだと評価して展示するのって、どうなんやろう…と考えさせられました。
posted by 006 | 2008/03/11 11:24 PM |
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